【韓察日報】政府が推進する農地全数調査を巡り、農民層の激しい反発や安全保障上の懸念が相次いだことを受け、政府は明らかな投機行為でない限り農地を処分しない方針を固めるなど一歩後退した。JTBCなどの報道によると、李在明(イ・ジェミョン)大統領は農政への反発や農漁村の厳しい現実を重く受け止め、年内の推進を目指していた包括的・漸進的な環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟についても原点からの再検討を指示した。
■投機以外は処分免除へ 政府が「例外5類型」を設定
農林畜産食品部の宋美玲(ソン・ミリョン)長官は、明確な投機目的でない限り農地の処分や履行強制金の賦課を行わない基本方針を発表した。具体的には、相続や高齢化に伴う営農困難、複雑な所有関係、進出路のない孤立地など5つの「処分例外」類型を明確化し、年内の国会通過を目標に特別措置法を発議する方針だ。ただし、虚偽の営農計画書による不法取得など悪質な投機については、現行の農地法に基づき厳格に対処する。
今回の見直しは、国会農林水産委員会の国政監査で野党「国民の力」と与党「共に民主党」が激しく対立して国政監査が一時中断するなど、政界や農家からの反発が急速に高まったことを受けた措置だ。こうした農村世論の悪化を受け、李大統領は8日、「農漁民の声に十分耳を傾け、対話してほしい」と述べ、CPTPP加盟手続きの原点からの見直しを命じるなど、農政全般の軌道修正を余儀なくされている。
■野党は「太陽光カルテル」と中国依存を激しく批判
農地調査を巡っては、安保面や政権の思惑に対する批判も噴出している。韓国KBSは、野党「国民の力」の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表が8日の党最高委員会で、「農地価格を暴落させ、左派・中国・太陽光発電カルテルによる農地買い占めの土台を築こうとしている」と激しく政府を批判したと報じている。
張代表は、李大統領が遊休農地の活用策として「営農型太陽光発電」に言及した点を問題視し、「国内の太陽光モジュールの70%、セルの96%が中国製だ」と指摘した。さらに、調査に使用されるドローンの91%が中国製で、分析ソフトもロシア製であることから、「わが国の国土や安保情報が中国やロシアへ流出しているはずだ」と述べ、調査の即時中止を訴えた。
■中国製ドローンの撮影を一時中断 安保懸念に政府が対応
こうした野党側からの安保上の指摘を受け、政府は急遽対応に追われた。韓国SBSの報道によると、宋長官は8日のブリーフィングで、農地調査に投入していた中国製ドローンによる撮影を一時中断させ、徹底したセキュリティ対策を指示したと明かした。
これに先立ち、国民の力のキム・ヨンテ議員は国政監査で、調査用ドローン103機のうち91%に当たる94機が中国製であり、軍部隊が集中する京畿・江原地域では95%に達すると暴露している。また、画像データ処理ソフトにロシア企業のアジソフト社(Agisoft)が制作した「メタシェイプ」が使われている点も批判の的となった。
宋長官は、京畿道ではプログラムを韓国製に変更済みであり問題はないと説明した。その他の地域で農漁村公社が購入したドローン65台にもマニュアルに従ってセキュリティ対策を講じており、軍事境界地域では事前の許可が必要なためドローン撮影は行われていないと説明したが、高まる安保への懸念を払拭するために撮影中断へ踏み切った形だ。
【編集長の韓察眼】
不動産対策の失敗で支持率が低迷する政権は農地改革で挽回を図ったが、あえなく失敗に終わった。農民の反発に加え、政権中枢における土地開発利益を狙った農地保有問題が露呈しかねない「ヤブヘビ」状態だった。今後は特別措置法による例外規定の法制化に加え、「太陽光カルテル」や「中国製ドローン」問題の行方を注視したい。

