【韓察日報】映画『暗殺者(たち)』の歴史歪曲を巡る論争が拡大する中、主演俳優のユ・ヘジン氏に対する警察の身辺保護措置が講じられた。YTNなどの報道によると、ソウル城北警察署はユ氏の所属事務所から要請を受け、自宅周辺の警備強化などの身辺保護措置を発動した。作品を巡る反発は過激化しており、過熱する抗議行動が俳優個人の身の安全や企業の広告展開、さらには映画館の興行体制にまで広がりを見せている。
■自宅前での抗議活動やネット上の脅迫受け警察が身辺保護
今月4日以降、ソウル市城北区にあるユ氏の自宅前では過激な抗議デモが開かれたほか、インターネット上でも身の安全を脅かす書き込みが相次いだ。脅威の高まりを受けて所属事務所は6日午後に警察へ身辺保護を申請した。警察関係者は「犯罪被害に遭った場合だけでなく、被害の懸念がある段階から速やかに身辺保護措置を講じる」と語った。
■広告打ち切りや上映自粛の動きも
論争の余波は企業活動や上映現場にも波及している。ファストフード大手のバーガーキングは、ユ氏を起用した新製品の広告キャンペーンを突如終了した。先月16日にキャンペーンを開始したばかりだったが、わずか約2週間で公式サイトやSNS上の関連投稿をすべて削除した。同社側は契約期間の終了によるもので映画の論争とは無関係と主張する一方、韓国SBSは過去のキャンペーンと比較して掲載期間が極めて短く、イ・ジョンジェら他俳優の広告映像が依然として残っている点に触れ、不買運動などのリスクを事前に回避するための広告打ち切りではないかという見方を報じている。
さらに、一部地域では上映を自粛する動きも出ている。朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の生家がある慶尚北道亀尾(クミ)市の映画館では、チケット予約画面から同作のタイトルが消えた。保守団体や政界を中心に上映中止を求める声が強まっており、こうした動きが現場の判断に影響を与えたとみられる。
■論争が過熱する中で累計観客数は240万人を突破
政治的・社会的な摩擦が広がる一方で、映画自体は強い関心を集め続けている。公開から2週間が経過した『暗殺者(たち)』は、ボックスオフィス1位を維持しながら累計観客数240万人を突破した。表現の自由と歴史認識を巡る議論が複雑に交錯する中、事態の沈静化に向けた出口は見えていない。

