【韓察日報】朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の妻、陸英修(ユク・ヨンス)夫人銃撃事件(文世光事件)を扱った映画『暗殺者(たち)』に対し、政府のマザーファンドを通じて投資された計78億ウォンのうち、半分を超える40億8,820万ウォンが政府出資金であることが判明した。TV朝鮮などの報道によると、野党「国民の力」のキム・スンス議員事務所が韓国ベンチャー投資から入手した資料により明らかになった。
■公的資金投入の不透明さと他作品との異例の格差
資料によると、9つの「ベビーファンド」が昨年8月から1年間にわたり映画『暗殺者(たち)』へ投じた金額は計78億ウォンに上る。このうち政府投資額は投資総額の約52%を占めており、全額が文化体育観光部の映画発展基金から拠出された。民間による投資額は37億1,180万ウォンにとどまっている。
さらに、韓国コンテンツ振興院は昨年、同作を評価した「コンテンツ価値評価報告書」を作成し、韓国ベンチャー投資のマザーファンドへ提供していた。これにより、同基金が投入された組合が映画の内容を事前に把握した上で投資を決めた可能性が指摘されている。
一方、『暗殺者(たち)』と同日に公開された映画『タジャ:ベルゼブブの歌』に対する政府マザーファンドの投資総額は25億ウォン、うち政府投資額は13億6,980万ウォンにとどまった。政府投資額で比較しても約3倍の開きが存在する。キム・スンス議員は「歴史歪曲を行った映画に公的基金が投入された」と指摘し、「同時期の他作品と3倍以上の差があることは、目に見えない権力が外圧を行使したのではないかという当然の疑問を抱かせる」と強く批判した。
■限定グッズの廃棄と政治圏へ広がる批判
歴史歪曲を巡る混乱は作品への資金投入にとどまらず、劇場側の対応にも及んでいる。韓国SBSは、大手マルチプレックスのメガボックスが同作のオリジナルチケットをめぐる物議を受け、4日に公式謝罪文を発表したと報じている。
メガボックス側は、担当者が映画を事前鑑賞できないまま配給・制作会社から提供された画像のみで限定チケットを制作した背景を説明した。劇中のシーンやポスターを活用して作品のテーマ性を際立たせようとしたものの、歴史的悲劇に対する配慮と重みを十分に考慮できなかったと釈明し、残りの在庫を全量廃棄する方針だ。
このグッズ制作に対しても政治圏からの反発は強く、野党「改革新党」のイ・ギイン非常対策委員長や野党「国民の力」のチュ・ジンウ議員らが「不謹慎なグッズだ」と糾弾したほか、オ・セフン(呉世勲)ソウル市長も「無神経だ」と批判した。メガボックス側は今後、歴史的事件や人物に対する社会的・倫理的影響を徹底的に検証する内部プロセスを整備する考えだ。
【編集長の韓察眼】
損益分岐点に達する前の上映中止は国民負担へ直結するため、政権・与党による過剰な擁護の理由も合点がいく。銃撃や衝突、飲酒喫煙や罵倒・卑語を含む過激な表現がありながら、12歳以上鑑賞可とされた審議の甘さも見逃せない。資金投入の妥当性と併せ、監査による真相解明の行方を注視したい。


