- 訪日韓国人の事件・事故被害が約9倍に急増し、未解決の失踪も複数発生
- 観光客の治安過信に加え、性犯罪の増加や深刻な連絡途絶事案が相次ぐ
- 限られた領事体制下で、在外韓国人を守る実効的な保護網を築けるか
【韓察日報】日本を訪れる韓国人観光客の急増に伴い、現地で事件や事故に巻き込まれる韓国人がここ3年間で約9倍に急増している。メイル新聞などの報道によると、外交部が国会・野党「国民の力」のキム・デシク議員に提出した資料から、日本国内における被害者数が急増しているだけでなく、現地での連絡途絶や行方不明が疑われる事案が相次ぎ、依然として所在が確認できない未解決事例も複数残されている実態が浮き彫りとなった。海外全体でも同様にアジア太平洋地域を中心とした行方不明事案が急増しており、在外公館による国民保護体制の強化を求める声が高まっている。
■訪日客急増の陰で被害激増 紛失に加え性犯罪・詐欺も深刻
日本国内における海外渡航・滞在中の韓国人の事件・事故被害者数は、2022年の348人から2025年は3,090人へと約8.9倍に跳ね上がった。今年も上半期だけで既に1,784人に達しており、2025年の水準を上回る見込みだ。
被害の内訳の中で最も大きな割合を占めたのは物品などの紛失で、2022年の147人から2025年は2,267人へと約15.4倍に拡大した。これは2025年の被害者総数の約73.4%を占める規模だ。しかし、被害の増加は紛失にとどまらない。不同意性交等・不同意わいせつといった性犯罪の被害者は2022年の0人から2025年は8人に増え、詐欺被害も同期間に3人から37人へと急増した。さらに交通事故被害は26人から93人へ、その他の被害も129人から394人へとそれぞれ増加している。
こうした被害急増の背景には、訪日韓国人旅行者の急激な回復がある。日本を訪れた韓国人は2022年の101万2,700人から2025年は945万9,600人へと約9.3倍に伸びており、被害者数の増加率とほぼ一致する。だが、訪問者の増加に伴う偶発的な事故だけでなく、深刻な犯罪被害が着実に増えている点は見過ごせない。
■連絡不通は2年で3.7倍に急増 未解決の失踪事案も
とりわけ深刻なのは、渡航後に連絡が途絶えたり、行方不明が疑われたりする事例の多発だ。統計を取り始めた2023年に66件だった日本国内での連絡不通事案は、2025年は246件と約3.7倍に膨らんだ。行方不明が疑われる事件も同期間に5件から12件へと倍増している。
外交部の集計によると、2023年から今年8月末までに日本国内で発生した連絡不通・行方不明事案のうち、依然として計9人の所在が確認できず「未解決」のまま残されている。
■アジア太平洋地域に集中する「未解決行方不明」 世界全体でも事態深刻
事態の深刻さは日本国内にとどまらない。韓国SBSの報道によると、世界全体で海外現地に行方不明届が出され、所在確認が取れず「未解決」のままとなっている在外韓国人は、今年上半期だけで66人に上る。そのうち大部分を占める60人が日本を含むアジア太平洋地域に集中しており、欧州(4人)や米州(2人)を大きく引き離している。
海外における韓国人の行方不明者数は2023年の13人、2024年の12人から、2025年は88人へと跳ね上がった。在外公館に連絡途絶や失踪の疑いなどで行方不明届が出された人数自体も、2024年の1,372人から2025年は2,346人へと急増し、今年上半期だけでもすでに1,002人に達している。
現地で突如として消息を絶ち、長期化する事例も後を絶たない。2024年3月には、フィリピンの現地カジノに勤務していた30代の韓国人男性が行方不明となり、知人が在外公館に通報した。駐在国の警察庁や入国管理局などが捜索に乗り出したものの、発生から2年7カ月が経過した現在も所在が掴めず、長期行方不明者として扱われている実態が報じられている。
■国家の義務としての国民保護 体制整備が急務
外交部は行方不明者の早期発見に向け、駐在国の治安当局や入国管理局への照会要請をはじめ、関係者との面談や現地韓国人コミュニティとのネットワークを活用した所在確認作業を継続していると説明している。
しかし、渡航先での犯罪被害や長期未解決事案が相次ぐ現状に対し、在外公館の対応能力や支援体制を抜本的に再構築すべきだという危機感は強い。
野党「国民の力」のキム・デシク議員は、「海外渡航・滞在中の韓国人の保護と支援は外交部の中核業務であり、最優先課題とすべきだ。国民の保護は国家の義務である」と指摘した。その上で、「現地の領事業務担当者の人員やリソースには限界があるだろうが、在外公館の業務をより効率化し、国民が不測の被害に遭わないよう実効性ある対策を講じなければならない」と強調した。
【編集長の韓察眼】
円安に伴う個人旅行の急伸と日本の治安への過信が、旅行者の安全意識を希薄化させ被害急増を招いた側面は否めない。東南アジアで目立つ凶悪犯罪とは異なり、日本での事案は単独行動中の突発的トラブルが長期未解決化する傾向が強い。限られた領事リソースのなか、在外公館が現地警察との連携を深め実効的な保護網を敷けるかが焦点となる。

