【韓察日報】大統領選挙前に「政治ブローカー」ミョン・テギュン氏から無償で世論調査の提供を受けたとして政治資金法違反などの罪に問われた尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対し、高裁は一審懲役2年の有罪判決を覆し、無罪(求刑懲役4年)を言い渡した。MBNなどの報道によると、ソウル高等裁判所刑事7部(ク・フェグン部長判事)は、世論調査の無償提供を政治資金法上の寄付とは認められないと判断した。
■直接証拠の欠如と「財産上の利益」否定
ソウル高裁は、世論調査の実施や提供について、尹前大統領とミョン氏の間で事前の依頼や協議、意思の合致があったことを示す直接証拠が全く存在しないと指摘した。「暗黙の合意」を認めた一審の判断を退け、世論調査の実施自体がミョン氏独自の判断によるものだったと結論付けた。
さらに高裁は、「ミョン氏が提供した政治的助言や世論調査結果は、財産上の利益に換算できる性質のものではない」と説明した。尹前大統領側に直接的な財産的利益が生じておらず、政治資金の寄付行為には該当しないとの見解だ。ミョン氏が自身の影響力を高める目的で他の政治家にも同様の調査結果を提供していた背景から、尹前大統領側に政治資金を受け取る故意があったと認めることも困難であると付言した。
■弁護側は判決を歓迎、特検は最高裁上告へ
判決に対し、尹前大統領側弁護人のチェ・ミョンソン弁護士は「直接証拠や客観的証拠が全くない不当な状況だったが、高裁がその点を十分に考慮してくれた」と感謝を表明した。判決が言い渡された際、尹前大統領は微笑みを浮かべ、傍聴席の一部の支持者からは涙が見られた。
一方、YTNは、キム・ゴンヒ(金建希)氏の疑惑を担当する特別検察官は一審で無罪とされた部分を含めて懲役4年を求刑しており、今回の判決に強く反発していると報じている。特検チームのパク・ノス特検補は「世論調査の提供が政治資金の寄付に該当することは、これまでの判決で何度も認められてきた」と困惑を示し、即座に最高裁へ上告して事実に即した判決を求める方針を明かした。
■58回の調査受領と夫人の裁判への影響
YTNの報道によると、尹前大統領は大統領選を前にミョン氏から計58回にわたり無償で世論調査動向を提供された疑いを受けていた。
また、同じ事案で別途裁判を受けている夫人のキム・ゴンヒ氏については、すでに一審および二審で共に無罪判決が言い渡されており、現在は最高裁の判断を待つ段階だ。今回の尹前大統領に対する控訴審での無罪判決が、最高裁におけるキム氏の事件審理にどのような影響を及ぼすかが今後の焦点だ。
【編集長の韓察眼】
かつて朴槿恵元大統領の国政介入事件で「黙示的請託」を認め疑わしきを罰した韓国司法が、「暗黙の合意」を退け証拠裁判主義を守った格好だ。尹前大統領は先月11日と16日に続き、直近1カ月で3回目の無罪判決となる。最高裁での最終判断とともに、同種の疑惑を抱える夫人裁判への影響を注視したい。

