韓国政府の広報物に「中国風」デザイン、生成AI利用拡大で問われるチェック体制

【韓察日報】国民の安全を守るために韓国政府が実施する災害対応訓練の広報物に、中国軍と類似した階級章が描かれていたことが判明し、大きな波紋を広げている。韓国KBSなどの報道によると、広報物を制作・配布した行政安全部が生成AI(人工知能)技術を用いて画像を作成したものの、適切な事前確認を怠ったまま全国の自治体に配布し、インターネット上にも掲載した。公的機関における安易なデジタル技術の活用や確認不足に起因する、歴史的事実や文化的な背景を無視した表現が相次いで表面化しており、政府広報の信頼性が厳しく問われている。

■生成AIが生んだ「公安風」の警察官
 問題となったのは、来週から開始される災害対応「安全韓国訓練」を告知する横断幕だ。掲示された警察官の肩には、韓国警察の象徴であるムクゲの紋章ではなく、星が描かれた階級章が配置されていた。星が描かれた階級章は中国人民解放軍やベトナム公安に見られる形式であり、大韓民国の警察制服には一切使用されていない。さらに、消防士のヘルメットに描かれた模様も、消防庁の公式ロゴとは異なっていた。

 この広報物を制作・配布した行政安全部は、生成AIを利用して画像を作成した際、適切な事前確認を行っていなかったと認めた。行政安全部の関係者は「AIを使用したことでミスが生じた。できるだけ早く撤去・回収するよう手配した」と説明した。取材を受けた同部は、慌てて自治体へ公文書で速やかな撤去と廃棄を指示したものの、すでに広報用の横断幕は全国各地に掲げられ、すでにユーチューブやソーシャルメディアを通じて拡散してしまっていた。現場の警察官からは「階級章が完全に公安風になっている。一切のチェックもせず横断幕を掲げるなど、これが大韓民国政府のやることなのか」と激しい怒りの声が上がっている。

 政府機関による不適切な画像使用は以前から問題視されており、昨年8月にも国土交通部が光復節記念映像に東京駅の画像を使用して猛烈な批判を浴びた経緯がある。

■疾病管理庁でも「秋夕に月餅」 問われるチェック体制
 公的機関のデジタルツール依存による文化の取り違えや確認不足を巡っては、マネートゥデイが先月、疾病管理庁による不祥事を報じている。

 報道によると、疾病管理庁は秋夕(チュソク=旧盆)連休を控えた9月24日、国民向けに健康管理の注意事項を案内するカカオトークメッセージで、中国の伝統菓子である「月餅」の絵文字を誤って使用した。批判が殺到したことを受け、同庁は9月26日に公式SNS上で謝罪文を掲載した。「秋夕」関連のキーワードを入力した際に自動で提案される絵文字を確認せず、画像だけを見て韓国の伝統料理と誤認して使用したと説明した。特定の国や文化を宣伝する意図は否定したものの、細部まで十分に確認しなかったとして「国民の皆様にご心配をおかけした」と謝罪し、今後はコンテンツの事前審査手続きを強化する方針を示した。

 中国の中秋節で食べられる月餅が韓国を代表する名節(伝統的な祝日)のメッセージに使われたことに対し、ネット上では「大韓民国ではなく大韓『中華』民国になろうとしているのか」「松餅(ソンピョン)でもないのにあり得ない」といった批判が噴出した。

 生成AIや自動提案機能など、利便性の高いデジタル技術の導入が進む一方で、歴史的・文化的な検証を欠いた公的広報のあり方に対し、事前審査体制の徹底を求める声が一層強まっている。

【編集長の韓察眼】
事前チェック体制の不備を巡る事案は、生成AI導入以前から繰り返されてきた。本件を報じたKBSも2021年2月の旧正月特番で日本の城を背景に用い、SBSドラマ『ザ・キング: 永遠の君主』でも東大寺大仏殿風画像の混入が物議を醸した経緯がある。実効性ある検証プロセスの構築に向け、「人間もAIもミスをする」前提がいかに組み込まれるかに注視したい。

出典: 韓国KBS / マネートゥデイ

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