- 米ゲーム「CoD」が梨泰院雑踏事故映像を削除、韓国政府の「遮断」示唆で波紋広がる
- 野党は「独裁的検閲」と猛反発し、二次加害対策と表現の自由が激突
- 惨事への配慮か表現の自由か、過熱する韓国政府の規制判断の行方に迫る
【韓察日報】世界的人気ゲーム『コール オブ デューティ』の最新作に梨泰院(イテウォン)雑踏事故の映像が無断使用されていた問題で、米発売元のアクティビジョンが映像の削除を発表した。しかし、李在明(イ・ジェミョン)政権がゲームへのアクセス遮断を示唆したことを巡り、野党が「独裁的な検閲だ」と猛反発し激しい政治対立へと発展している。韓国MBCなどの報道によると、ゲーム会社はすでに公式に謝罪し全面削除する方針を示したが、政府高官による強硬な発言をきっかけに表現の自由を巡る政争が激化している。
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■事故映像の無断使用と米ゲーム会社の謝罪
問題の発端となったのは、北朝鮮による奇襲的な韓国侵攻をきっかけとした架空の朝鮮半島全面戦争を描く最新作『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア4』だ。作中の画面に、4年前の梨泰院雑踏事故直後に救急隊員が倒れた市民に心肺蘇生を行う約3秒間のニュース映像が無断で使用されていた。心肺蘇生を行う人物や警察の規制線、路上に横たわる人々、警察の合図灯、右側の消防士の制服に至るまで位置や構図が完全に一致していた。
報道直後、梨泰院雑踏事故の遺族協議会や市民対策会議、韓国ゲーム利用者協会は直ちに該当シーンの削除と謝罪を要求した。遺族協議会の李政民(イ・ジョンミン)運営委員長は「あまりにも衝撃的で苦痛に満ちた瞬間であり、法的措置も辞さない考えだった。せめてそのような状況に至らなかったことが幸いだ」と語った。これを受け、アクティビジョンは声明文を通じて「深い傷を負われた遺族や被害者、ご心配をおかけしたすべての方々に、心よりお悔やみとお詫びを申し上げる」と発表し、11月12日のアップデートを通じて問題となった映像データを全面的に削除する方針だ。遺族側もこの措置を歓迎しつつ、今後の対応を注視する姿勢を示している。
■李政権の「接続遮断」示唆に野党「検閲独裁」と猛反発
ゲーム会社による削除方針で事態が収束に向かうとの見方がある一方、JIBSは、政府高官による強硬な制裁姿勢が与野党の激しい政争の火種になっていると報じている。
行政安全部の尹昊重(ユン・ホジュン)長官は29日の記者懇談会で、事故映像のゲーム利用を二次加害にあたると断定した。「大規模な惨事であり、家族を失った悲しみを商業目的の題材にするのは、人道的な見地から控えるべきことだ」と批判した。さらに「処罰を行うか、あるいは一般ユーザーが利用できないようアクセス遮断するか、関係機関が判断すべきだ」との見解を示し、ゲームへのアクセス遮断を含む制裁の必要性に言及した。
この発言を受け、野党「国民の力」は即座に政権批判を繰り広げた。朱晋佑(チュ・ジンウ)議員は30日、自身のソーシャルメディアで「これからはゲームや映画も、李在明政権が指定したものしか許されないのか」と反発した。「ゲームの配信を停止すれば、独裁に対する国民の抵抗に直面することになる」と警告した。
朱議員は、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の妻である陸英修(ユク・ヨンス)夫人銃撃事件(文世光事件)を扱った映画『暗殺者(たち)』を引き合いに出した。その上で、「暗殺の背後に北朝鮮がいない可能性もあるという親北的で不道徳な映画は国民の税金で作っておきながら、北朝鮮軍による韓国侵攻をモチーフにしたゲームは全面的に禁止しようとしているのか」と激しく反発した。「問題となる場面は修正を求めればよいだけで、ゲームへのアクセスを完全に禁止することは憲法上禁止されている検閲だ」と指摘し、消費者がゲームをプレイする権利を侵害するいかなる試みも阻止する方針を強調した。
【編集長の韓察眼】
梨泰院雑踏事故への配慮を巡り、行政による過剰な介入とそれを警戒する世論との摩擦が浮き彫りとなった。革新陣営を中心にセウォル号事故以降繰り返された惨事の政治利用に加え、昨今のスタバ応援歌騒動や映画『暗殺者(たち)』を巡る対立が今回の検閲論争に拍車をかけている。二次加害の防止と表現の自由をいかに両立させるか、韓国政府の規制判断の行方を注視したい。

