- 米人気ゲーム最新作が朝鮮半島有事をリアルに描き、韓国で大論争に。
- 「悲劇の商業化」への批判と「表現の自由」を巡る主張が国会でも対立。
- 政府は規制に慎重姿勢も、分断国家における創作の境界線が問われる。
【韓察日報】世界的な人気を誇る戦争ゲーム『コール オブ デューティ』の最新作が23日に発売され、北朝鮮による韓国侵略など朝鮮半島の有事を極めてリアルに描いていることから、韓国内で激しい論争が巻き起こっている。韓国SBSなどの報道によると、同作はゲーム配信プラットフォームで瞬く間に1位にランクインしたものの、その生々しい描写を巡って「歴史的悲劇の商業化」という批判と「映画と同様の創作の自由」という反論が激しく対立し、国政監査の場でも政府見解を問う事態に発展した。
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■見慣れた街が戦場に…現実味を帯びた過激な描写
発売された『コール オブ デューティ:モダン・ウォーフェア4』は、累計販売本数5億本を突破するシリーズの最新作だ。韓国軍の二等兵パク・ヒョンジュンの視点を通じ、北朝鮮軍の全面侵攻に立ち向かう兵士の姿と、朝鮮半島を舞台にした架空の戦争を描いている。
ゲーム内では韓国のありふれたコンビニや見慣れた路地、野球場などが戦場と化し、上陸作戦や塹壕戦が展開される。さらにMBNの報道によると、北朝鮮軍が韓国の民間人を射殺する過激な場面も盛り込まれているという。舞台は北朝鮮国内にも及び、最高指導者の葬儀に集まった群衆や権力継承、軍部によるクーデターまで克明に描写され、新たな指導者の登場シーンでは「誰だ? K-POPスターか?」「僕より若く見えるけど?」といった皮肉交じりのセリフも飛び交う。
制作会社インフィニティ・ワードのジャック・オハラ共同代表は「実際のニュースで報じられた話のように受け止めてほしい。現実にも起こり得るようなリアリティを持たせた」とコメントした。朝鮮半島の軍事的緊張に注目して舞台に選んだと述べ、実際の金正恩一族ではなく架空の北朝鮮指導部を設定したと説明している。
■「南北分断の商業化」批判 映画『暗殺者(たち)』引き合いに反論相次ぐ
依然として停戦状態にある朝鮮半島での戦争を娯楽として消費することに対し、韓国内の世論は真っ二つに割れている。MBNの取材では20〜30代を中心とした熱狂的な支持が見られる一方、ネット上では「民族の苦難を戦争ゲームの題材として利用している」「政治的対立が激化している局面で良い影響をもたらさない」といった強い懸念や批判が噴出した。
しかし、こうした批判に対し、ネット上では映画『暗殺者(たち)』などを引き合いに出した強い反論が相次いでいる。「映画は映画として鑑賞するのに、なぜゲームはゲームとして受け止められないのか」という声だ。映画や小説と同様にゲームも一つの創作物であり、架空のシナリオを通じて戦争の危険性に警鐘を鳴らす作品として、表現の自由の観点から尊重されるべきだという主張が、ゲームファンや若い世代を中心に急速に支持を集めた。
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■国政監査で追及 文化相「様々な反応が出るのは当然」
この論争は政界にも波及し、23日に行われた文化体育観光部の国政監査でも大きな争点となった。野党「国民の力」のキム・ソッキ議員は、「左派陣営が、このゲームが発売される前から『直ちに発売を中止すべきだ』といった過剰な反応を示している」と指摘し、表現規制の動きを牽制した。
これに対し、チェ・フィヨン文化体育観光部長官は「ゲームに対して多様な受け止め方があるのは、ごく自然なことだと思う」と答弁した。映画と同様に創作物として楽しむ立場と、現実の安保不安から拒否感を抱く立場の双方が存在することを受け止めつつ、コンテンツに対する性急な規制や介入には慎重な立場を示した形だ。
映画とゲームの境界線が薄れる中、分断国家という特殊な現実と表現の自由との調和をどう図るべきか、長官の答弁を機に議論はさらに白熱している。
【編集長の韓察眼】
映画で許容されてきた題材がインタラクティブなゲーム媒体へ移行したことで、悲劇の消費を巡る倫理観の衝突が浮き彫りとなった形だ。チェ長官は今月7日の質疑で「政府は創作物の内容に一切関与しない」と答弁しており、表現規制の動きを示す与党陣営との間に齟齬を来している。今後も韓国における「表現の自由」を巡る議論の行方を注視したい。

