【韓察日報】2023年7月に起きた海兵隊員の殉職事件をめぐり、主要被疑者であるイ・ジョンソプ(李鐘燮)前国防相を駐オーストラリア大使に任命して海外逃亡させたとして起訴されたユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領に対し、一審で無罪判決が言い渡された。韓国SBSなどの報道によると、裁判所は捜査を妨害する目的があったと断定することは困難であると判断した。
■「人事権行使の一環」と判断
ソウル中央地裁刑事合議22部は、犯人隠避や職権乱用、国家公務員法違反の疑いで起訴された尹前大統領ら6名に対し、全員無罪を言い渡した。裁判部は、出国禁止措置の事実を認識していない状態で任命指示を出した点に触れ、逃亡させる意思や目的を持って人事を推進したとみるのは困難と指摘した。また、大使の赴任は通常の犯人逃亡とは本質的に異なり、国家元首としての人事権行使とみる余地もあると付け加えた。併せて、当時の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による捜査の停滞についても問題視した。
この事件は2024年3月、殉職事件を巡る外圧疑惑の核心被疑者として出国禁止状態だったイ前国防相が豪州大使に任命され、法務部が出国禁止を解除して出国したことで波紋が広がったものだ。海兵隊特検チームは、大統領室への捜査拡大を防ぐための隠蔽工作と断定し、昨年11月に尹前大統領らを起訴していた。今回の一審判決では、関与が取り沙汰された大統領室の外交・安保幹部や法務部関係者を含む全員に無罪が言い渡されている。
判決を受け、尹前大統領側は「極めて当然の結論だ」と歓迎の意を示し、特検チームは判決文を精査した上で控訴の有無を判断する方針だ。
■軍人権センターは「捜査妨害が無罪の根拠」と強く反発
一方で、この判決に対して直ちに反発する声も上がっている。MBCは、市民団体の軍人権センターが同日声明を発表し、特検チームに対して直ちに控訴するよう強く求めたと報じている。
軍人権センターは「裁判所は各行為を日付ごとに細かく切り分けて検討した結果、誰に対しても刑事責任を問わなかった」と批判した。さらに「権力によって捜査が遅延・妨害された疑惑を究明する事件において、捜査が不十分であった事実をかえって無罪の根拠とするのは納得しがたい」と主張し、判決の不当性を訴えた。
【編集長の韓察眼】
莫大な時間と費用を費やしながら拘束令状の棄却率が9割(10件中9件)という海兵隊特検の限界を示した。就任11日で帰国した大使を即座に出国禁止としながら、捜査を進めなかった公捜処の責任は重大である。本件を司法府の姿勢転換と捉えるべきかを含め、今後の特検裁判の行方を注視したい。

