【韓察日報】安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官が空軍士官学校の士官候補生に対し、中国の毛沢東の言葉を自らの座右の銘として紹介していたことが明らかになり、大きな波紋が広がっている。チャンネルAなどの報道によると、野党側は朝鮮戦争で北朝鮮の南侵を支援した毛沢東の言葉を国防トップが掲げる姿勢を問題視し、更迭を強く求めた。これに対し国防部は火消しを図るが、アン長官を巡っては兵役離脱なども浮上しており、世論の反発は強まる一方だ。
■野党「どこの国の軍隊か」と更迭要求
アン長官は今年6月、空軍士官学校を訪問した際、士官候補生らを前に「処変不驚(情勢が急変しても動じない)」という四字熟語に言及した。アン長官は「これは毛沢東の言葉であり、私の座右の銘だ」と強調したという。
この発言に対し、野党「国民の力」は激しく反発した。チョン・ジョムシク院内代表は「朝鮮戦争は金日成がスターリンの許可を得て、毛沢東の支援を受けて引き起こした侵略戦争だ」と指摘し、「一体どこの国の軍隊であり、どこの国の長官なのか」と批判した。
さらに同党のソン・イルジョン議員が「殉国した方々に恥ずかしくないのか」と批判したほか、キム・ウンヘ議員も「国防部が毛沢東のファンクラブになってしまった」と主張した。カン・ミョング議員は「他の省庁の長官であれば私的な場で問題にならなかったかもしれないが、国軍を指導する資格はない」と述べ、更迭を求めた。
こうした批判に対し、国防部のチョン・ビンナ報道官は「政界でも広く使われている四字熟語に過ぎず、特定の人物を強調する意図とは当然異なる」と釈明した。
■兵役離脱も浮上 世論の75%超が辞任支持
毛沢東語録を巡る発言で批判を浴びる中、アン長官の個人疑惑に対する国民の視線も極めて厳しい。TV朝鮮は、改革新党のチョン・ハラム院内代表が依頼した世論調査結果を引き合いに、アン長官への辞任要求が75.6%に達したと報じている。
調査によると、回答者の88.0%がアン長官の「脱営疑惑」を認知しており、そのうち63.5%が「疑惑は事実に近い」と評価した。また、兵籍記録簿の公開を求める回答は84.7%に上り、そのうち「積極的な公開を支持する」との回答は68.0%に達した。
一連の発言騒動に加え、軍歴に関する疑惑が解明されない現状に対し、与野党陣営間の対立意識を超えた不信感が広がっている。
【編集長の韓察眼】
「毛沢東の言葉」かどうかはさておき、本件は思想的文脈を巡る発言の妥当性にとどまらず、安全保障を担う国防トップの資質と倫理観を問う問題へ発展した。兵役離脱疑惑との相乗効果により、政争を超えた世論の不信が定着している。軍の信認に関わる問題であるだけに、渦中にある兵籍記録簿の開示を含め、長官が主体的かつ透明性のある説明責任を果たせるかが今後の焦点だ。


