【韓察日報】韓国で「営業利益のN%を業績給として支給せよ」と求める労働運動が全土で激化しており、国内外の投資家が韓国投資における重大なリスクとして警戒を強めている。サムスン電子やSKハイニックスが人工知能(AI)ブームに伴う記録的な利益を従業員に分配したことに端を発したこの動きは、AIと直接的な関連が薄い異業種や中小・中堅企業にまで急速に波及した。毎日経済新聞やイーデイリーなどの報道によると、いわゆる「黄色い封筒法(改正労働組合法)」が労使紛争の拡大に拍車をかけており、過度な労働争議が企業業績と投資環境を悪化させる要因になっている。
■AIブームが生んだ「利益分配要求」が他産業・中小企業へ全方位波及
サムスン電子やSKハイニックスの利益分配を発端とした報酬拡大の要求は、主要大企業へ瞬く間に広がった。現代自動車(純利益の30%)、HD現代重工業(営業利益の30%)、LGユープラス(営業利益の30%)に加え、新世界(営業利益の15%)やカカオなど、多岐にわたる産業で労働組合による業績給要求が相次いでいる。
海外メディアや専門家は、企業の所有者である株主に帰属すべき利益を労働者が要求する構造を問題視する。バークレイズ銀行のエコノミスト、ソン・ボムギ氏は「硬直した労働市場において、労働者は景気後退期には雇用が保護され、景気拡大期には追加報酬を受け取る『無料オプション』に似た構造を得ている」と分析した。
こうした「N%の業績給」をめぐる対立は大企業にとどまらない。イーデイリーは、釜山に本社を置く半導体テスト部品企業のリノ工業で、労組側が営業利益の15%を成果給として支給するよう求め、23日から全面ストライキに突入したと報じている。リノ工業が生産するテストソケットは半導体検査の核心部品であり、ストライキが数週間以上に長期化すれば、半導体供給網に深刻な影響を与えるとの懸念が浮上している。
■「黄色い封筒法」が火種に 曖昧な争議対象に補完立法求める声
労使紛争の過熱を招いた最大の要因として指弾されているのが、「黄色い封筒法」をはじめとする労働法改正だ。同法により労働争議の対象に「労働条件に影響を及ぼす事業経営上の決定」が含まれたことで、団体交渉の範囲や争議の対象が曖昧となり、労働組合に過度な影響力を与える結果となった。
事態を重くみた政府・雇用労働部は、労働組合法第2条第5項に関する解釈指針などの下位法令を修正し、N%の業績給が争議対象に含まれるか否かの基準を明確化する方向で検討を推進する方針だ。しかし、上位法である「黄色い封筒法」そのものの曖昧さが解消されない限り、最終的には裁判所の判断に頼らざるを得ず、紛争の日常化は避けられないとの見方が強い。
在韓米国商工会議所(AMCHAM)のジェームズ・キム会長も「争議行為の範囲について不確実性が残っている。『黄色い封筒法』で混乱が相次ぐなら、補完的な立法が必要だ」と指摘しており、産業界や与党主導による再改正論議の必要性が高まっている。
■新技術拒否とストの常態化が企業業績を直撃
労使対立は、新技術の導入や構造調整の場にも影を落としている。現代自動車と起亜の労働組合は、ヒューマノイドロボット「アトラス」の導入に対し雇用の保障を要求している。現代自労組は「合意なしには、たった一台のロボットも工場に入れない」と表明し、労働者の同意なしでの投資推進に猛反発している。
現代自労組は会社側の賃上げ提案を拒否し、定年延長や解雇者の復職を求めて部分ストライキを継続中だ。業界の推計によると、現代自労組が1時間のストライキを行った場合に発生する売上損失額は約187億ウォンに上る。現代自の営業利益が前年比で減少傾向をたどる中、ストの長期化は業績に致命的な打撃を与えかねない。
また、営業利益の最大15%を求めてストライキが起きたカカオについて、サムスン証券は労組リスクを理由に目標株価を約27%引き下げた。構造調整による収益性改善が期待されていたものの、労使紛争の長期化によってその原動力が弱まる懸念が出ている。


