【韓察日報】 韓国の政府系銀行「IBK企業銀行(中小企業銀行)」中国法人で、833億7600万ウォンに上る大型金融事故が発生していたことが分かった。SBSビズなどの報道によると、同行の現地法人は半年間にわたり巨額の横領不正を見抜けず、返済を行った顧客の信用度が低下するなどの二次被害が拡大している。現場における内部統制の形骸化と、金融当局の消極的な対応に対し批判の声が高まっている。
■任意口座への送金と虚偽データで巨額横領
事故の舞台となったのは、IBK企業銀行中国法人が現地の非銀行系金融機関「ハイアール消費金融」と提携して行っていた非対面融資事業だ。同社はオンライン融資プラットフォームで、借り手の募集や元利金の返済業務を担当していた。
融資自体は企業銀行が直接実行したものの、返済の過程で不正が行われた。同プラットフォームは借り手が納付した元利金の入金先を自社が指定した任意口座へ勝手に変更し、回収した資金を企業銀行へ送金せずにそのまま横領した。さらに同社は、実際には資金を送金していないにもかかわらず、システム上では返済が完了したかのように虚偽の情報処理を行っていた。
この不正により、企業銀行は833億7600万ウォンの元利金を回収できなくなった。一方で、正常に返済を済ませた借り手たちが未返済や延滞状態として処理され、不当な取り立てを受けたり信用度が低下したりするなどの重大な被害を被った。
■「毎日照合」も機能せず 放置された内部統制
事態をさらに深刻にしているのは、同行のリスク管理態勢の不備だ。不正行為は昨年12月1日から今年6月29日まで続いていたが、企業銀行が異変を察知したのは6月24日だった。顧客からの苦情や精算金の未入金が相次いだことで、ようやく問題を認識した格好だ。
YTNは、企業銀行側が実際の入金額と返済明細を「毎日照合」していたにもかかわらず、事故発生から約2ヶ月以上が経過するまで問題を発見できなかったと報じている。独自の点検システムが機能していなかった点は明白だ。また、事故把握から2ヶ月近くが経過した現在も正確な事故金額や予想損失額を確定できておらず、同行は「現地の捜査機関が調査中」として終結報告を待つだけの受動的な対応に終始している。
■監督当局の対応遅れに政界からの厳しい追及
企業銀行側は今後、ハイアール消費金融と協力して被害額を算出し、関連企業に対する損害賠償請求など法的手続きを推進する方針だ。
しかし、監督当局の対応に対する懸念も浮上している。YTNの報道によると、報告を受けた金融監督院は内部点検を行うのみで、対面確認や現場検査などの積極的な措置を講じていない。
この問題に対し、シン・ドンウク議員は「海外法人に対する杜撰な統制と、監督当局による甘い事後対応は深刻な問題だ」と強く批判した。同議員は、企業銀行による責任ある事後措置と、監督機関による即座の積極的な介入が必要不可欠であると強調している。
【編集長の韓察眼】
非対面提携事業の拡大に対し、本国のリスク管理体制が追いついていない課題が浮き彫りとなった。「毎日照合」という形式的運用が異変の察知を遅らせた内部統制の形骸化は極めて重い。現地パートナーの不正を見抜けない脆弱性は、海外展開を進める他行にも共通するリスクである。今後は金融監督院による検査の踏み込みと、実効性ある海外拠点統制の再構築に注目したい。

