【韓察日報】韓国国内の酒類出荷量が27年ぶりに300万キロリットル(㎘)を下回り、通貨危機当時の水準まで落ち込んだ。韓国経済TVなどの報道によると、国税庁の国税統計ポータル(TASIS)が集計した昨年の酒類出荷量は298万8,000㎘を記録し、10年前の2015年(380万4,000㎘)と比べて21.5%減少した。大衆的な人気を誇るビール、焼酎、マッコリの出荷量が揃って長期的な減少傾向を見せており、酒類市場が短期的な変動を超えて構造的な縮小局面に入ったとの分析が強まっている。
■大衆酒の出荷減少と飲酒行動の変化
酒類別では、ビールの昨年の出荷量が151万9,000㎘で前年比7.2%減となり、3年連続の減少で160万㎘の大台を割り込んだ。甲類焼酎も79万3,000㎘(3年連続減)で80万㎘を下回り、濁酒(マッコリ)は31万8,000㎘と5年連続の減少を記録した。年間出荷量が300万㎘を下回ったのは、1998年の国際通貨基金(IMF)通貨危機時(292万2,000㎘)以来27年ぶりのことである。
消費者の飲酒行動でも量と頻度の双方が減少している。農林畜産食品部と韓国農水産食品流通公社(aT)の「2025年酒類産業情報実態調査」によると、月1回以上飲酒する消費者の月平均飲酒日数は8.8日、飲酒日の1日平均飲酒量は6.6杯となり、2023年の9.0日、6.7杯からそれぞれ減少した。性別・年代別では30代男性が1日平均8.1杯で最多となった一方、女性は年齢層が高くなるにつれて飲酒量が減少し、50代女性の3.2杯が最も少なかった。
■「一人飲み」の定着と嗜好の細分化
こうした構造変化の要因として、健康志向の高まりや高齢化、人口減少に加え、会食文化の変化が挙げられている。一連の背景についてチャンネルAは、新型コロナウイルスの流行を経て「家飲み」や「一人飲み」が日常化したほか、職場などで酒を大量に飲む文化が薄れたことも一因と報じている。実際に「人気の酒類トレンド」として消費者が挙げた項目では、「コンビニで購入」(85.5%)、「宅飲み」(54.2%)、「一人飲み」(52.2%)が上位を占めた。
一方で、全体的な飲酒量は減らすものの、個人の好みに合った特定の製品や新しい酒種を求める「消費の多様化」も顕著だ。チャンネルAは、低アルコール飲料やノンアルコールビール、ハイボール、小容量製品が市場を拡大する中、ウイスキー、乙類焼酎(本格焼酎)、伝統酒といった嗜好性の高い酒種への需要が高まっていると指摘している。昨年の果実酒出荷量は1万7,000㎘と高水準へ回復し、一般蒸留酒(4,000㎘)やブランデー(31㎘)の出荷量も数年ぶりの最大水準を記録するなど、量より質や多様性を重視する市場トレンドが鮮明になっている。
【編集長の韓察眼】
IMF危機以来27年ぶりとなる酒類出荷量の激減は、単なる景気低迷ではなく生活様式の構造変化に起因する。背景には少子高齢化に加え、職場における会食の減退が影響している。大衆酒が不振を極める一方、嗜好の多様化が進む現状は、節約志向に偏っていた過去の不況期と一線を画す。今後は「量から質」への波をとらえ、業界が高付加価値化や小容量展開へ舵を切れるかが焦点となろう。


