対中投資拡大を続ける韓国国民年金、米制裁リスト指定の中国AI企業に巨額投資で波紋

【韓察日報】マネートゥデイなどの報道によると、韓国の国民年金が、米国国防総省の「中国軍事企業(CMC)」リストに掲載された中国の人工知能(AI)機器大手「Zhongji Innolight(中際旭創)」の香港市場における新規株式公開(IPO)へ投資していたことが判明した。国民年金がCMC指定企業に対して新規投資を行った事例が確認されたのは今回が初めてであり、米中対立が深化する中での投資判断に対し波紋が広がっている。

■米制裁指定の42日後に約定…高まる事業規制リスク
 国民年金は先月20日、米投資会社ブラックロック傘下のファンドなどと共同で、中際旭創に対して総額2億5000万ドル(約3543億7500万ウォン)規模のコーナーストーン投資契約を締結した。同社は7月30日に香港証券取引所へ上場したが、国民年金が取得した株式は2027年1月29日まで売買が制限されるロックアップ対象となる。なお、国民年金の個別投資額は明かされていない。

 中際旭創はAIデータセンター向けの光トランシーバーを生産する主要メーカーで、売上高の61.7%を米国市場に依存する。しかし、国民年金が投資契約を結ぶわずか42日前に、米国国防総省は同社を中国人民解放軍と関連のあるCMCリストへ新規指定した。CMC指定企業は今年6月から国防総省との直接契約が禁止され、2027年6月からは商品やサービスを含む間接調達まで禁止範囲が拡大する実効的な制裁対象となっている。さらに、米連邦通信委員会(FCC)が中国製光トランシーバーの輸入制限を検討中とされるなど、制裁リスクは一層深刻化している。

■1年間で3.4兆ウォン増加…拡大を続ける対中投資の背景
 地政学的リスクへの懸念が浮き彫りになる一方、ヘラルド経済は、国民年金による中国市場への投資自体は大きく拡大していると報じている。国民年金が公表した昨年末時点の海外株式投資状況によると、中国本土に拠点を置く企業への保有評価額は前年比約40%増となる約11兆8042億ウォンに達した。1年間で約3兆4000億ウォン増加し、海外株式ポートフォリオ全体に占める割合も1.98%から2.24%へと上昇している。

 特に寧徳時代新能源科技(CATL)をはじめとする電気自動車(EV)やバッテリー関連銘柄の評価額が大幅に増加した。ヘラルド経済によると、国民年金は今回の中際旭創へのIPO参加を含め、株価上昇に伴う投資先としての魅力を背景に、今年も中国のハイテク企業への投資を継続する方針だ。

■収益性と経済安全保障の双方を見極める視点
 国民年金側は個別投資の詳細について「確認できない」との回答にとどめている。一方、専門家の間では収益性の追求とリスク管理のバランスを巡り、多様な議論が交わされている。

 成均館大学中国大学院のパク・ギスン教授は、「経済安全保障の時代においては、単なる財務的な収益率だけでなく、地政学的・規制リスクを体系的に投資判断へ反映させる必要がある」と指摘した。その上で、「リスクを考慮した上でどの企業が長期的に生き残り、サプライチェーンにおいて戦略的価値を持ち得るかを見極める判断力が求められる」と分析した。

 一方で、西江大学経営学部のイム・チェウン名誉教授は、「ポートフォリオの多様化という観点から投資自体は可能だ」と述べ、「米国の対中規制による不利益は許容すべきリスクであり、最初から懸念して投資を控えるのは適切ではないが、最悪の倒産リスクも考慮に入れるべきだ」との見解を示した。

【編集長の韓察眼】
 韓国国民年金による対中投資の拡大は、高い収益性を追求する運用上の要請が生んだ結果といえる。しかし米中対立が深化する中、従来の財務分析に依存したリスク管理の限界も露呈した。市場安定化の観点から個別投資の開示が限られる現状において、成長性のみならず米制裁といった経済安全保障上の動向を投資判断へ即座に反映させる基準の構築が急務だ。収益追求と地政学リスク回避の両立に向け、運用態勢をいかに刷新していくか注視したい。

出典: マネートゥデイ / ヘラルド経済

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