【韓察日報】李在明(イ・ジェミョン)大統領が実施した6省庁の閣僚人事異動を巡り、与野党の攻防が急激に激化している。特に「共に民主党」のキム・スンウォン(金勝源)議員を法務部長官候補に指名した人事に対し、野党側が強く反発しており、刑事司法制度改革の適正性や候補者個人の資質を問う声が高まっている。韓国KBSなどの報道によると、与野党は候補者の過去の弁護経歴や公訴取り消しを推進する姿勢を巡り、真っ向から対立している。
■「大庄洞事件」関与と裁判取り消しへの懸念
キム候補者は、いわゆる「大庄洞(テジャンドン)事件」の関係者であるナム・ウク氏の弁護団に名を連ねていたほか、共に民主党議員105人が名を連ねる被告人・李在明の公訴取り消しを求める会派の共同代表を務めていた経歴を持つ。民主党のパク・ソンウォン最高委員は、キム候補が刑事司法制度の安定的な定着と改革を推進する適任者であると擁護する。
これに対し、野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク(張東赫)代表は「国民が反対しても公訴の取り消しに全力を注ぐ狙いは明白だ」と猛反発した。キム候補は当時所属していた法律事務所の要請でナム氏と一度面会したのみで、事件自体の弁護はしていないと主張し、「大庄洞の弁護人」という指摘を否定した。しかし、KBSの取材により、大庄洞事件の融資ブローカーとされるチョ・ウヒョン氏の違法融資事件で弁護人に名を連ねていた事実が判明した。
さらにMBNは、野党「国民の力」のチョン・ジョムシク院内代表が、イ・ジェミョン大統領に対してキム候補の指名撤回を強力に求めていると報じた。チョン院内代表は、キム候補が2020年大田(テジョン)の水害被害の際、テレビの前で不適切な態度を見せて批判を浴びた過去や、公訴取り消しに対する超強硬な立場を問題視し、法務行政を統括する資格を欠いていると批判した。
■過去の口利き疑惑と警察行政の停滞
キム候補を巡っては、過去に新型コロナウイルス治療薬の臨床承認をめぐる口利き疑惑で起訴猶予処分を受けた経歴も再び取り沙汰されている。野党議員らが検察捜査の経緯を追及する構えを見せる中、キム候補は一連の批判に対し「刑事司法体制の定着が最優先だ」と強調し、公訴取り消しなどの懸念については聴聞会で立場を明かす姿勢を示した。
一方で、今回の閣僚人事そのものの問題点を指摘する声も根強い。MBNの報道によると、野党側は今回の内閣改造で警察庁長官の指名が見送られた点を問題視している。警察組織が1年8カ月にわたり職務代行体制のまま放置されている上、補完捜査権の廃止も目前に迫っており、直ちに長官の任命手続きを再検討すべきだと促している。
【編集長の韓察眼】
政権与党による司法手続きへの介入不信と検察権力を巡る長年の政治的摩擦が対立の根底にある。歴代政権でも側近や改革派の法相起用が世論の反発を招き法務行政の信頼を損ねた経緯があり、今回も同様の足かせとなる懸念が強い。人事聴聞会を通じて司法の独立性と法治の原則が担保されるかに注視したい。

