- 韓国与党が最高裁長官の携帯端末履歴を照会、個人番号記載で波紋拡大
- 与党は聖域なき調査と主張する一方、法曹界は令状なき監視と猛反発
- 戒厳令巡る政争の激化と、三権分立を揺るがす国政調査の焦点に迫る
【韓察日報】国会科学技術情報放送通信委員会の委員らが、国政監査においてチョ・ヒデ(曺喜大)最高裁長官の携帯電話の機種変更履歴を照会していたことが判明し、波紋が広がっている。韓国SBSなどの報道によると、与党「共に民主党」のファン・ジョンア議員事務所の要請を受け、SKテレコム、KT、LGユープラスの通信大手3社から関連資料が提出されたという。
■ 非常戒厳令関連で約2年分の履歴を要求
世界日報は、同委員会が今月22日の国政監査において、12・3非常戒厳令に関連して「2024年12月1日から現在まで」の約2年間にわたるチョ最高裁長官の携帯電話の機種変更履歴(機種、日付、時間)のすべてを要求していたと報じている。提出された資料には「携帯電話端末の変更履歴はない」という回答とともに、同長官の個人の携帯電話番号まで記載されていた。
■ 与党「適法な資料要求、聖域ではない」と反論
こうした事態が物議を醸す中、資料提出を主導したファン議員は27日、自身のSNSを通じて立場を表明した。「国会の適法な議決に基づく資料について『監視』であるかのように印象づけることに対し、深い遺憾の意を表する」とし、国会法および国会証言・鑑定法に基づき通信会社の記録を確認したと説明した。
さらにファン議員は、「三権分立という憲法精神は、裁判所を牽制せず聖域として放置してよいという意味ではない」とし、「チョ最高裁長官は聖域ではなく、国政調査を通じて聖域なき調査が行われるべきだ」と強調した。
■ 法曹界からは「令状なき監視」との批判
ファン議員側が適法な手続きだと主張している一方で、法曹界からは国会の権限濫用や個人情報侵害を指摘する声が上がっている。
世界日報は、法曹界の一部から「個人情報を捜索・差押令状もなく、国会の議決だけで当事者も知らぬ間に無断で閲覧している」「監視に他ならない」との批判の声が上がっていると報じている。通常、裁判所の令状に基づいて通信記録を照会する際は関連法により当事者への事後通知が義務付けられているが、国会の資料提出要求にはそうした手続き規定が存在しない。過去には法制処も「憲法上の基本権の保護や個人情報保護法の趣旨などに基づく限界がある」との政府による法的解釈を示していた。
匿名の部長判事(日本の部総括判事に相当)は「国会は捜査機関ではない。こうした基本権の侵害を防ぎ、国民の権利と自由を保護するために令状主義があるのだ」と指摘した。世界日報の取材に対し、韓国刑事訴訟法学会会長である嘉泉大学法学科のイ・グヌ教授も「事実上、捜索・差押に近い行為だ」とした上で、「最高裁長官の携帯電話の機種変更履歴を要求した目的もよく分からないし、そうして受け取った資料を適切に管理せず、番号が漏洩してしまったことも問題だ」と苦言を呈した。
【編集長の韓察眼】
野党・国民の力に支持率を逆転され党内分裂が加速する中、「チョ・ヒデ弾劾」は与党陣営が団結を図る格好の材料だ。これまで幾度となく立法府の暴走を止める機会を逸してきた司法府の姿勢も影を落とす。与党は27日の議員総会で最高裁長官への国政調査実施を議決したが、今後も韓国の三権分立の行方を注視したい。

