- 李大統領のAI活用投稿を機に、野党が同じAIで反撃する異例の事態に
- 捜査トップの閣議出席を巡り、AIが「独立性を損なう恐れ」と指摘
- 大統領府は事実確認ツールと反論、前代未聞の「AI政争」の行方に注目
【韓察日報】野党「国民の力」の最高委員会議で、人工知能「ジェミニ」(Gemini)の回答を用いて、李在明(イ・ジェミョン)大統領の国政運営を批判する異例の事態が起きた。JTBCなどの報道によると、野党側が捜査機関トップの閣議出席の是非についてAIの回答を引き合いに出して政権への攻撃を強めている一方、MBNは、大統領府がこれに対し「AIは単なる事実確認ツールに過ぎない」と野党の主張に反論したと報じている。
■野党、AIの回答を盾に大統領を猛批判
野党「国民の力」のキム・ジェウォン最高委員は22日午前の最高委員会議で、自身がAIチャットボット「ジェミニ」に質問し、回答を受けたやり取りの音声記録を公開した。
キム最高委員はジェミニに対し、重大犯罪捜査庁長官や警察庁長官を閣議に陪席させることの公正性や政治的中立性について尋ねた。これに対しジェミニは、「法的な形式だけを見れば大統領の行政監督権の行使として許容範囲と解釈される余地がある」としつつも、「国民の信頼という観点からは、捜査機関の長が最高権力者の会議に出席するだけで、捜査の独立性が揺らぐという誤解を招く恐れが極めて高い」と答えた。法的権限と実質的な規範が衝突するため、社会的な議論は当分続く見込みだ。
さらにキム最高委員は、李大統領の関係者が重い実刑判決を言い渡されている状況を挙げ、「このような非常時に自身が主宰する会議に捜査機関のトップを陪席させることは、不当な捜査介入行為ではないか」と追及した。ジェミニは「平時と非常時は厳格に区別して見なければならないという指摘は本質を突いている」と評価した。「制度上の建前を掲げようとも、国民の視点からは捜査や裁判への影響力を行使する意図と受け取られる可能性が非常に高い」とし、民主的な自制が強調されるべきだと指摘した。
これを受け、「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は、堂々と直言したとしてキム最高委員とジェミニを皮肉たっぷりに「本日の優秀最高委員」に選んだ。チャン代表は李大統領に対し、「もはや味方になってくれる友人も見つけにくく、ついにはジェミニまで友達扱いにしている。SNSが命綱だと言っていたが、今やAIに命乞いをする有様だ」と痛烈に批判した。自身もジェミニに李大統領の刑事裁判の再開について尋ねたところ、「当然再開すべきだ」との回答を得たと伝えた。
■大統領府、「AIを通じた国政運営」との批判・報道に反論
一連の騒動の発端となったのは、李大統領が重大犯罪捜査庁長官の閣議への陪席に関する意見を自身のSNSに投稿する際、「ジェミニ」を活用したことだ。李大統領は今月13日の閣議でも、捜査機関トップの出席は政府組織法と憲法に基づき当然だと発言しており、生中継を通じて国民に自身の信念と政治姿勢を表明していた。
こうした大統領のAI活用に対する野党の批判や一部報道について、大統領府は22日、ジェミニは法令の規定内容を確認するためのツールとして使用したに過ぎないと発表した。大統領府関係者は、大統領の投稿がジェミニの回答をそのまま転載したものではなく、自身の考えを反映したものだと強調した。「AIの回答を国政運営の根拠として掲げた前代未聞の事態」といった報道は事実と異なると反論し、AIを通じて国政を運営しているという主張は曲解であると一蹴した。
【編集長の韓察眼】
大統領の勇み足が、野党議員らによる「ジェミニ大喜利」の口火を切った。「前科なしのAIが大統領をやれば?」「韓国の三権分立=李在明・X・ジェミニ」など、格好の風刺ネタと化している。公選ではない上、ハルシネーションの危険性を抱えつつも韓国の国政の場で影響力を持つに至った大統領のジェミニを今後も注視したい。

