【韓察日報】米国のドナルド・トランプ大統領が、アラスカの液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトへの投資をめぐり、韓国に対して「早期に合意しなければ課す金額を2倍にする」と強硬な圧力を加えていることが分かった。KBSなどの報道によると、韓国政府が商業性の精査を優先する条件付き合意の立場を維持する中、米側は関税という切り札を持ち出して早期決断を迫る構えだ。しかし、過去の外交機密文書から韓国政府が40年余り前から同事業を採算が見込めないとして2度も拒否していた歴史が判明しており、李在明政権内においても慎重な精査を求める声が高まっている。
■トランプ氏が関税示唆し「2倍請求」と圧力
トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、韓国によるアラスカLNGプロジェクトへの投資発表が性急だったのではないかとの質問を受け、「性急に発表したわけではない。彼らが事業を望まないなら構わない。ただ、より大きな費用を請求すればいいだけだ」と不快感を露わにした。さらに「韓国はまだ最終合意に至っていない」と追及されると、「すぐに合意しなければ、課す金額を2倍にすると伝えろ」と強硬な口調で迫った。
具体的に何を2倍にするのかは明かさなかったものの、再び関税を引き上げて韓国に圧力をかける狙いがあると見られている。またトランプ大統領は同日、韓国が原油回収増進プロジェクトに84億ドルを投入するとソーシャルメディアで発表した。これは油田にガスなどを注入して残存原油を汲み上げる事業と推定されるが、事前説明を受けていない韓国政府は急遽経緯の確認に乗り出している。米政治専門メディア「ポリティコ」は、トランプ氏が大型プロジェクトをアピールしているものの、劣勢とされる選挙情勢を覆すには手遅れだとの見方を伝えた。
■500億ドル規模の事業と立ちはだかる「過酷な現地環境」
一方、この大型投資の実体と採算性に対しては強い疑問が投げかけられている。TV朝鮮は、アラスカLNGプロジェクトの総事業費が約500億ドル(約75兆ウォン)規模に上ると報じている。米国のハワード・ラトニック商務長官は先月30日(現地時間)、「この500億ドル規模のプロジェクトは、アラスカの膨大な天然資源を本格的に開発する出発点となる」とアピールした。
アラスカ北部に埋蔵される天然ガスは約7億トン、金額にして約330兆ウォン規模に達する。しかし、極寒の地で1,300キロメートルに及ぶパイプラインを敷設し、ガスの液化・貯蔵施設まで建設するには75兆ウォンが必要と推計されている。過酷な気象条件や長距離輸送に伴う莫大な建設費用が、商業上の大きな障壁となっている。
■外交機密文書が明かす「過去2度の拒否」の史実
こうした中、TV朝鮮が入手した外交機密文書により、韓国政府が過去に同様のアラスカLNG事業の提案を採算が見込めないことから2度にわたって拒否していた歴史が判明した。
1983年の全斗煥政権下では、当時のチェ・ドンギュ動力資源部長官がアラスカ州知事に対し、全大統領に代わって「追加購入を約束することはできない」と返信していた。長期的なエネルギー需給計画の未定や過大な財政負担が拒否の背景にあった。続く1992年の盧泰愚政権下でも、外務部が経済性などを理由に駐アラスカ総領事館に対し「購入意思なし」との立場を現地に伝えるよう指示していた。
西江大学国際大学院のキム・ジェチョン教授は、トランプ氏には米国内の政治的事情から焦りが生じていると分析する。専門家や政界からは、現政権(李在明政権)に対し、米側の圧力に焦ることなく時間をかけ、事業性を徹底的に精査すべきだとの指摘が出ている。
【編集長の韓察眼】
11月3日に中間選挙を控える米政治情勢から強硬な関税圧力を高めるトランプ陣営に対し、韓国側は過酷な現地環境に伴う巨額の採算リスクに直面している。全斗煥・盧泰愚政権も採算性を理由にアラスカLNG事業を退けた歴史があり、費用対効果の不透明さは長年の懸案だ。米国の強硬要求に焦ることなく、李在明政権が過去の教訓に基づき客観的な精査を貫けるかが今後の焦点となる。

