【韓察日報】検察の補完捜査権廃止を盛り込んだ刑事訴訟法改正案に伴い、犯罪被害者の弁護士費用負担に対する懸念が高まる中、国会法制司法委員長を務める共に民主党のソ・ヨンギョ(徐瑛教)議員が国選弁護人制度の活用を対案として提示した。JIBSなどの報道によると、ソ議員はラジオ番組で「弱者に関連する犯罪には国選弁護人が義務的に選任される」と強調し、異議申し立て業務への拡大や費用支援の拡充を打ち出したが、批判的意見の軽視をめぐり市民団体から告発されたほか、現実的な予算・人材不足による制度の形骸化を懸念する声が上がっている。
■国選弁護人の役割拡大を主張 政府との意思疎通を強調
ソ議員はラジオ番組で、補完捜査権の廃止に伴い被害者が異議申し立てを行う際、高額な弁護士費用が必要になるのではないかという懸念に対し、「児童虐待や性暴力、凶悪犯罪など社会的弱者が対象の事件では、国が義務的に弁護士を選任する仕組みがある。これこそが国選弁護人だ」と述べた。さらに、従来の不起訴処分にとどまらず異議申し立てや送致後の手続まで国選弁護人の役割を拡大すべきだと主張した。業務過多への懸念については、1件につき2件分の費用を支払う方式を提案し、法務部長官も応じる姿勢を示したと説明した。
また、刑事訴訟法改正をめぐる政府との意思疎通を強調し、「警察の暴走や隠蔽を防ぎ、検事も誇りを持って働ける法律になればいいという意見を政府から受けている」と語った。党内の状況については、大統領を支える重要性を指摘した。
■発言をめぐり職権乱用容疑等で告発 党内からも強い懸念
しかし、こうした一連の発言や法改編の方針に対しては、強い反発と法的な追及が相次いでいる。文化日報の報道によると、市民団体の「庶民民生対策委員会」は、ソ議員とキム・ヨンミン議員(共に民主)を職権乱用や強要、侮辱、名誉毀損などの容疑で警察に告発した。
同団体は、ソ議員が弱者対象の犯罪について警察が送致の可否を判断せず全件を検察等へ送る「全件送致」法案を10月までにまとめる方針を示したことや、被害者の負担懸念に対して「心配無用」と発言した点を職権乱用に当たると主張している。同党のクァク・サンオン議員が「間もなく訪れる国民の苦痛が目に浮かぶ」と危惧したのとは対照的に、ソ議員が批判や懸念を軽視しているとの指摘だ。あわせて、キム・ヨンミン議員がSNSで検察公務員に対し「法律が間違っていると言うなら退職して国民の力に入党しろ」と投稿した発言も、強要や侮辱に該当するとして告発対象に含まれた。
■迫る刑事司法改編 未払い報酬300億ウォンと深刻な人員不足
今年10月の刑事司法制度改編を前に、検察の直接・補完捜査権が消失することで警察段階における法的対応の重要性は一層高まっている。だが、対案として提示された国選弁護人制度の実態は極めて厳しい。文化日報は、予算と人材の致命的な不足により、裁判所が国選弁護人に支払えていない未払い報酬が昨年までに約300億ウォンに達していると報じた。
現在、全国の被害者担当国選弁護士は47名、非専任(弁護士)は582名にとどまり、全体的な人員枠が大幅に不足している。非専任弁護士の事件当たりの報酬は約50万ウォンと私選弁護人の10分の1程度に過ぎず、すでに決定された報酬すら支給が遅れるケースが多発している。大韓弁護士協会のヤン・ユンソプ会長は「国民の権利を実質的に保障するためには、私選との報酬格差を解消することが不可欠だ」と指摘しており、実効性のある予算や体制の裏付けがないまま役割のみを拡大する政策に対し、現場からは冷ややかな視線が注がれている。
【編集長の韓察眼】
捜査権再編に伴う被害者保護のあり方が問われている。与党は国選弁護制度の拡充を掲げるが、現場では約300億ウォンに上る報酬未払いや深刻な人材不足が常態化しており、理念先行の改革には限界が見える。十分な予算と人員配置による実効性の担保なしに市民の権利救済は成り立たない。実効的な裏付けをいかに構築するかが今後の焦点となる。


