- 【出来事】韓国国民年金の国内株評価額が約100日で182兆ウォン急減
- 【問題点・背景】半導体暴落と市場配慮の調整猶予が裏目となり巨額損失を記録
- 【結論・焦点】年金枯渇が5年早まる懸念と政治に揺れる運用の独立性
【韓察日報】韓国株式市場の急激な下落に伴い、国民年金公団が保有する国内株式の評価額が約100日間で182兆ウォン以上減少したことが分かった。第2四半期に189兆ウォンに達した過去最高水準の評価益を、わずか1四半期で事実上すべて打ち消した格好だ。MBNなどの報道によると、金融情報会社「F&Guide」が国民年金の公示データ(5%以上の株式を保有する上場企業287社)を基に算出した結果、10月15日時点の評価額は計333兆5,330億ウォンにとどまり、6月末時点の515兆9,293億ウォンから3カ月半で182兆3,963億ウォンが蒸発したとされる。四半期ベースで株式評価額がマイナスに転じたのは2024年第4四半期以来7四半期ぶりで、損失額としては過去最大水準だ。
■半導体株の急落が直撃、損失の7割超を占める
損失の大部分は、いわゆる「半導体の二大巨頭」とされる銘柄に集中した。SKハイニックスで74兆2,261億ウォン、サムスン電子で56兆8,710億ウォンと、両銘柄だけで計131兆971億ウォンの損失が発生し、全体損失額の71.8%を占めた。第3四半期において、サムスン電子の株価は33万4,000ウォンから21万ウォンへ、SKハイニックスは265万ウォンから126万2,000ウォンへと急降下した。国民年金は10月15日時点で、両銘柄の株式をそれぞれ7.84%、7.32%保有している。
このほか、SKスクエアで10兆8,698億ウォン、サムスン電機で7兆5,914億ウォンの損失を計上するなど、対象287銘柄のうち176銘柄で評価額が減少した。
■「リバランス見送り」が裏目に 年金枯渇時期への影響に懸念
一方、TV朝鮮は今回の巨額損失の背景に、国民年金による「リバランス(保有比率調整)の猶予措置」があったと報じている。株価が上昇していた今年上半期、国民年金は市場へのショックを回避するためとして保有株式の売却を伴うポートフォリオ調整を見送っていた。国民年金公団のキム・ソンジュ理事長は14日、「リバランスを延期せず本来のルール通りに実施していたとしたら、毎日8,000億ウォン以上の取引代金の10%以上を売却しなければならず、市場に甚大な衝撃を与えていたはずだ」と説明していたが、調整を行わないまま下落局面を迎えたことで結果的に損失拡大を招いた形だ。
この大暴落を受け、専門家の間からは年金財政への影響を懸念する声が出ている。世宗大学経営学部のキム・デジョン教授はTV朝鮮の取材に対し、「運用益によって早ければ2055年と見込まれていた年金枯渇時期の延長観測が覆され、枯渇時期が5年ほど前倒しになった可能性がある」と指摘した。
■ポートフォリオ再編とコスダック銘柄の大量売却
運用戦略の面では、第3四半期中に一部銘柄の入れ替えが行われた。5%以上を保有する銘柄数は6月末の270銘柄から10月15日時点で274銘柄へと増加したものの、コスダック市場の上場株については保有比率を大幅に縮小させた。保有比率を引き下げた82銘柄のうち21銘柄がコスダック企業であり、引き上げた84銘柄中のコスダック企業(ファーマリサーチ、RFマテリアルズ、斗山テスナなど7銘柄)を大きく上回った。これは、上半期に政府の活性化策などに合わせて買い入れたコスダック株を、第3四半期に相次いで大量売却した結果とみられる。
国民年金は今回の急落局面において1,600億ウォン相当の株式を処分するなど、変動リスクの高い資産を中心にポートフォリオの再構成を進めている。
【編集長の韓察眼】
今回の巨額損失は、半導体偏重の資産構成とショック回避を狙ったルール猶予が重なった結果である。「KOSPI5000」を掲げて株式市場への流入を促した李在明政権下での売り控え判断は、政権浮揚を狙った6月の統一地方選対策との指摘も根強い。運用益悪化による年金枯渇の前倒しが懸念される中、運用の独立性と規律の再構築が焦点となる。

