財政難の韓国電力、サムスン・SKに電気料金25兆ウォン前払いを提案 半導体クラスターの送電網整備へ

【韓察日報】財政難に陥っている韓国電力公社が、サムスン電子とSKハイニックスに対し、今後5年分に相当する計25兆ウォン規模の電気料金を前払いするよう提案し、詳細条件の協議を進めていることが判明した。韓国SBSなどの報道によると、韓国電力はこの前払金を、京畿道龍仁および湖南に整備予定の半導体クラスターにおける送電網建設の財源として活用する構想だ。

■原発20基分の電力確保と巨額の建設財源
 現在推進中の龍仁半導体クラスターではサムスン電子が6カ所、SKハイニックスが4カ所のファブ(工場)建設を計画している。さらに、6月に発表された湖南半導体クラスターでも両社がそれぞれ2カ所ずつ、計4カ所のファブ建設計画が浮上している。MBCの報道によると、これらのメガクラスターを完全に稼働させるには2040年までに20ギガワット、すなわち原子力発電所20基分に相当する膨大な追加電力が必要とされる。

 サムスン電子のチョン・ヨンヒョン副会長が「電力は安定した供給が何よりも重要だ」と語るように、インフラ整備は急務となっている。しかし、送電網建設を担う韓国電力は深刻な財務危機に瀕している。

■膨らむ負債と韓国電力の「苦肉の策」
 韓国電力の負債は6月末時点で210兆7000億ウォンを超えており、支払う利息費用だけでも1日あたり約115億ウォンに上る。さらにMBCは、同社の過去5年間の累積営業損失が36兆ウォンに達しており、送電網建設のための追加借入が不可能な限界状態にあると報じた。

 こうした状況下で韓国電力が提示したのが、電気料金の前払い制度を活用した巨額の資金調達案だ。昨年の電気料金実績(サムスン電子4兆1000億ウォン、SKハイニックス9000億ウォン)を基準に、サムスン電子に20兆ウォン、SKハイニックスに5兆ウォンの前払いを要請した。

 韓国電力は、前払い金に対して2年物国債金利を上回る高水準の利息を設定し、半期ごとに電気料金から相殺・割引する特例措置を検討している。韓国電力のパク・チャンリュル企画処長は「企業が前払いしてくれれば、現在頭を悩ませている国家電力網への投資財源確保につながる」と期待を寄せる。

■半導体2社の潤沢な資金力と慎重な姿勢
 韓国電力が異例の提案に踏み切った背景には、半導体好況に伴う両社の豊富な手元資金がある。MBCによると、サムスン電子は190兆ウォン、SKハイニックスは約90兆ウォンに上る現金同等資産を保有しているという。送電網の早期整備は企業にとっても不可欠であり、互いの利害が一致するとの見方だ。

 ただし、具体的な参加可否や適用金利、金額規模などは確定していない。サムスン電子とSKハイニックス側は「双方にメリットがある『ウィンウィン』の案という趣旨には共感する」としながらも、「確定した事実はない」と慎重な姿勢を崩していない。

【編集長の韓察眼】
文在寅政権の脱原発政策で赤字が拡大した韓国電力に送電網建設の財源確保する余裕はない。政権と与党が地方選や党代表選でフル活用した半導体構想の膨大な財源を民間企業に穴埋めさせる手法を世論がどうみるか。特例金利という新たな歪みとともに企業負担が常態化するリスクに注視したい。

出典: 韓国SBS / MBC

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