- 1パック4.4万ウォンのブラジル産卵を4千ウォン台で逆ザヤ供給
- 野党が血税浪費や左派癒着を追及、李大統領はデマに厳正対処を指示
- 鳥インフル対策の試験導入か血税浪費か、政策の実効性が問われる
【韓察日報】韓国政府が物価安定を目的にブラジルから高値で生卵を輸入し、市場へ格安で供給していた実態が明らかになり、巨額の財政投入や外交上の疑惑をめぐって波紋が広がっている。TV朝鮮などの報道によると、1パック(30個入り)あたり約4万4,000ウォン(現在のレートで約5200円)という高額な原価で輸入されたブラジル産卵が、国内市場では4,000ウォン台で販売され、その莫大な差額が国費で補填されていた。野党が「血税の浪費」や「左派コネクション」疑惑を追及するなか、李在明(イ・ジェミョン)大統領は虚偽情報の拡散に対して厳正な対応を指示するなど、事態は政争へと発展している。
■1パック4万4000ウォンを4000ウォン台で放出 原価8.8倍の「逆ザヤ」
農林畜産食品部の確認結果によると、ブラジル産生卵の実際の輸入単価は1個あたり1,464ウォン、1パック(30個入り)あたり4万3,923ウォン(計112万個、総額16億4,400万ウォン)に達していた。落札業者が契約を辞退したことでことで単価が跳ね上がったものの、韓国農水産食品流通公社(aT)が国会へ当初の入札価格(3万8,892ウォン)を提出したため、これまで実態よりも低く伝わっていた。
この単価は、米国産(1個あたり464ウォン)の約3.2倍、タイ産(305ウォン)の4.8倍に上り、当時の韓国内における卵の平均消費者価格(7,000ウォン台)と比較しても5~6倍高い水準だ。
それにもかかわらず、ペミン「Bマート」や大手スーパーなどでは、輸入原価の約8.8分の1に相当する1パック(30個入り)4,980~4,990ウォンで販売された。政府が原産地を問わず流通業者へ1個あたり約131ウォンで供給し、原価との差額を財政で全額補填したことから、国民の税金を投じた極端な「逆ザヤ供給」であるとの批判が噴出している。
■野党の「左派コネクション」追及と李大統領の「厳正対応」指示
政界では外交的背景をめぐる疑惑も浮上した。野党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は、少年労働者出身という共通点を持つ李在明大統領とブラジルのルーラ大統領による首脳会談直後に輸入が推進された点や、ルーラ大統領の左派的な政治志向に言及し、「国民の血税でブラジルの懐を潤した左派コネクションだ」と厳しく追及した。
こうした批判が高まる一方、MBNの報道によると、李大統領は13日午前に大統領府で非公開で主宰した国務会議において、宋美嶺(ソン・ミリョン)農林畜産食品部長官に対し、ブラジル産輸入卵をめぐる虚偽情報の拡散への対応状況を直接確認した。大統領府のカン・ユジョン首席報道官の書面ブリーフィングによれば、李大統領は「虚偽の事実に基づく扇動は、真の力量ではないという点を厳正に示さなければならない」と強調し、根拠のない疑惑拡散に対して断固たる態度で臨む方針を示した。
農林畜産食品部も首脳会談との関連性を否定し、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)などによる供給不安に備え、米国一極に偏っていた輸入構造を是正するための多角化措置だったと反論している。
■鳥インフル対策の「試験輸入」と国内農家支援の格差
政府がブラジルからの輸入を推進した背景には、昨冬の高病原性鳥インフルエンザによって国内の採卵鶏約1,134万羽が殺処分され、米国やタイからの輸入条件も制限された経緯がある。南半球に位置する畜産大国ブラジルは韓国と季節が逆であり、冬季の鳥インフルエンザ対策に適していると判断され、デンマークとともに輸入先に追加された。
ただし、今年9月末までに輸入された生卵計1億3,324万個のうち、ブラジル産は全体の約0.8%にあたる112万個にとどまる試験的導入であり、安全検査を経て流通した後はすでに追加輸入が中断されている。
しかし国会では、国内農家への配慮を欠いた予算執行への批判が根強い。祖国革新党のシン・ジャンシク(申壮植)議員は、政府が今年の生卵輸入支援に1,212億ウォンの予算を計上した一方、過去9年間に国内採卵鶏農家へ投じられた施設直接補助金はわずか97億ウォンだったと指摘した。野党「国民の力」のキム・ヨンテ議員も、莫大な財政は輸入補助ではなく国内の生産基盤拡充に充てるべきだったと主張した。
政府は昨年の採卵鶏1羽あたりの純利益(1万2,561ウォン)を根拠に養鶏産業の打撃を否定するが、2万羽未満の小規模農家は赤字に陥っているとの反論も出ている。卵の消費者価格は7月中旬の7,418ウォンから10月上旬には6,937ウォンへと約6.5%下落したものの、国内の飼育羽数や生産量の回復による影響も大きく、巨額の血税を投じた卵輸入政策の実効性をめぐる論争はなおも続いている。
【編集長の韓察眼】
鳥インフル対策や輸入多角化を名目に多額の血税が投じられ、政争の格好の火種になった。ブラジル農業畜産省は今年2月23日、カルロス・ファバロ農相の訪韓中に卵やブドウ、牛肉などの韓国市場参入交渉が進展したと発表している。今後もブラジル産農畜産物の進出動向を注視したい。

