いつ・だれの指示? 最前線で「実弾なし警戒」常態化 韓国軍の処分見送りに批判殺到

【韓察日報】韓国軍の最前線部隊において、実弾を装填せずに警戒勤務にあたっていたことが広範に行われていた事実が発覚し、衝撃が広がっている。TV朝鮮などの報道によると、国防部が前線部隊を対象に点検を行った結果、陸軍第1軍団にとどまらず、第2・第3・第5軍団や海兵隊第2師団でも実弾を装填しない警戒勤務が行われていたことが確認された。対北朝鮮警戒態勢の穴が露呈する一方、北朝鮮側は軍事境界線(MDL)を越えた要塞化作業を活発化させており、軍の防衛意識と消極的な対応に対する批判が高まっている。

■複数部隊で実弾なしの警戒が常態化 指揮官の処分は見送り
 最前線の監視所(GP)や一般前哨(GOP)で警戒勤務を行う際は、実弾が入った弾倉を銃器に装着する「装弾」が原則だ。しかし、2カ月前に第1軍団で発覚した実弾なしの警戒問題を機に国防部が独自監査を実施したところ、複数の主要部隊で同様の不備が常態化していたことが分かった。

 傘下部隊を指揮・統制すべき地上作戦司令部は、各軍団の弾薬運用を適切に把握できていなかった。これを受け、国防部は地上作戦司令部をはじめ第1・第2軍団、第3軍団傘下の第22師団に対して機関警告処分を下し、統合参謀本部には業務体制の改善を要求した。なお、指揮官の指示に基づき必要な手続きを経ていた第5軍団は警告対象から外れた。

 しかし、国防部は指揮官個人への懲戒処分を見送る方針だ。実弾なしの警戒勤務が長期間続いており、誰がいつ最初に指示を出したのか特定するのが困難だという理由からだ。世宗研究所のシン・ボムチョル首席研究員は「部隊の管理にのみ集中したため、対北警戒態勢が脆弱になり、こうした状況が引き起こされた」と分析した。最前線の警戒に不備がありながら責任追及を免れた形となり、後手後手の対応だという批判は避けられそうにない。

■北朝鮮軍はMDL南側へ侵犯・要塞化を加速
 韓国軍の防衛網が弛緩する一方で、前線における北朝鮮側の挑発的な動きは激しさを増している。チャンネルAは、北朝鮮軍が国境線の要塞化を理由にMDLを越えて韓国側に侵入する事例が急増していると報じている。北朝鮮によるMDL侵犯回数は2024年に9回、2025年に17回、今年は50回余りに達した。

 北朝鮮軍はMDL南側の韓国領内で視界確保のための伐採作業を行った後、地雷を埋設し、有刺鉄線を張り、戦術道路を建設する作業を加速させている。野党「国民の力」のユ・ヨンウォン議員は、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が名指しした第21師団の管轄区域などを挙げ、「北朝鮮軍がMDLを侵犯して鉄条網や地雷地帯などを設置した可能性を排除できない」と指摘した。これに対し統合参謀本部は、第21師団の管轄ではないとしながらも、有刺鉄線の越境が疑われる地域が1カ所存在することを認めた。

 統合参謀本部によると、MDLには軍事地図上のものや国連軍司令部の指標などに加え、北朝鮮側が独自に主張する基準線が存在する。北朝鮮軍は自らの主張に沿って線を引き、要塞化作業を推し進めている状況だ。統合参謀本部は昨年、MDL(軍事境界線)基準のすり合わせに向けた軍事会談を北朝鮮に提案したが回答が得られなかったため、まずは国連軍司令部と対応を協議する方針だ。

【編集長の韓察眼】
実弾なしの警戒を指示した人物の特定を困難とする国防部の発表には、今後十分な検証が求められる。汚物風船に対抗する平壌ドローン侵入作戦をめぐり尹前大統領が一審懲役30年を言い渡された事例も記憶に新しい。利敵罪や職権乱用罪の観点から両者の責任の重さをどう捉えるか、本件に対する世論の動向を注視したい。

出典: TV朝鮮 / チャンネルA


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