【韓察日報】今年5月に済州島で失踪し、今月発見されたチャン・ミランさん(37)の遺体。国立科学捜査研究院の鑑定により自死とみられる所見が出された一方、警察の初期対応のずさんさと行方不明者捜索を不当に打ち切る書類改ざんによる幕引きに大きな波紋が広がっている。YTNなどの報道によると、警察の不適切な対応に対する批判が高まる中、済州警察庁長は深謝し、全容解明に向けた作業班を結成して過去の処理件数の全数調査を進める方針だ。
■現場の不自然さと捏造された捜査完了処理
鑑定結果では遺体に特異な骨折はなく、所持品もそのまま残されていたため他殺の可能性は低いと推定された。しかし、現場のヤシ農園は鋭い棘を持つカナリアヤシが生い茂り、紐を結ぶ太い枝がない上、夜間は暗闇となるため女性が1人で自死を図るには困難な環境であるとの疑問が残る。地元住民すら3カ月以上放置された遺体に気づかない状態であった。
捜査の遅れを招いた背景には、警察官による組織的ミスがあった。拘束された副警長はチャンさんや60代男性の行方不明事件で捜査を捏造して完了扱いさせていたことが判明した。同副警長は今年6月に行方不明者発見の功労で警察庁長官表彰を受けるなどしていたが、裏では不適切な事件処理を行っていた。副警長は「チャンさんと通話した」と主張し容疑を否認しているが、警察はプロファイラーの投入や携帯電話のフォレンジック調査を実施するとともに、同副警長が過去に処理した298件について全数調査に乗り出した。不正な処理事例が発見され次第、直ちに捜査を依頼する方針だ。
■3日間で4遺体発見 デマ拡散で混乱広がる済州
警察への不信感が募る中、済州島内では失踪者を巡る噂話やデマが拡散し混乱が深まっている。韓国SBSは、SNSやオンラインコミュニティを中心に最近遺体で発見された失踪者の位置を示した「済州島行方不明者マップ」が配布され、市民の不安を煽っていると報じている。
SBSによると、22日から24日までのわずか3日間に、済州市旧左邑、朝天邑、涯月邑、そしてチャンさんが発見された翰林邑の計4箇所で相次いで失踪者が遺体で見つかった。ネット上ではこれらの事件を結びつける主張が相次ぎ、「中国の臓器密売組織の隠れ家が存在する」といった未確認の噂まで出回る事態となっている。これにより旅行のキャンセルや目的地の変更を検討する動きも出ている。警察は4件の死亡事件の相互関連性を確認していないと明かしたものの、警察の初期対応の遅れと怪談の波及により地域社会の動揺は広がっている。
【編集長の韓察眼】
検事の補完捜査権廃止など警察への権限集中が進む中、現場の実績主義やチェック機能の空洞化が浮き彫りとなった格好だ。公権力への不信が怪談や流言飛語の拡散を加速させる状況は、危機管理の不備が招く社会動揺の典型といえる。全数調査による実態解明にとどまらず、第三者による監視体制の構築と信頼回復に向けた実効策を打ち出せるかが焦点となる。

