【韓察日報】朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の妻、陸英修(ユク・ヨンス)夫人銃撃事件(文世光事件)を扱った映画『暗殺者(たち)』の劇場公式グッズに対し、不適切かつ残酷だとする批判が相次いでいる。MBNなどの報道によると、韓国の大手シネマコンプレックス「メガボックス」が提供したオリジナルチケットに弾痕を模したデザインが含まれており、政界や野党議員から全量廃棄や公式謝罪を求める声が強まっている。
■惨劇のデザイン化に猛反発「残酷で低俗」
問題となったグッズは、映画の公開に合わせてメガボックスが発売したオリジナルチケットだ。白い本体プレートには、1974年8月15日の光復節記念式場を連想させる舞台が描かれており、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が演説していた演壇や、右側の陸英修夫人の座席と思われる人物のシルエット、太極旗などが印刷されている。これに透明な素材のプレートを重ねると、太極旗や演壇、人物の上に6つの銃弾の跡が浮き出る仕掛けになっている。
これに対し、野党「改革新党」のイ・ギイン非常対策委員長は2日、自身のSNSで「命を奪った銃撃を、透明な板を重ねて見るような収蔵品にすべきだったのか」と批判した。「ある人にとっては一生消えない惨劇が、別の人にとっては独創的な販促アイデアになるのか」と指摘し、表現の自由を盾にした不適切なデザインの残酷さと下品さを強く難じた。さらにイ委員長は、過去にスターバックスのイベントをめぐり大規模な調査や不買運動が起きた経緯を引き合いに出し、「元大統領夫人の殺害を具現化したチケットの前では静かだ」と周りの沈黙を皮肉った。
■野党議員が廃棄・謝罪要求 制作者側は「創作の自由」主張
波紋が広がる中、野党側も厳しく対応する構えを見せている。メイル(毎日)新聞は、野党「国民の力」のチュ・ジンウ議員が3日、この弾痕デザインを「不謹慎なグッズ」と規定したと報じている。チュ議員は、銃弾の跡が歴史的現場や太極旗、夫人の座席に重なって見える点を問題視し、メガボックスに対してチケット全量の即時廃棄と公式謝罪を要求した。
さらにチュ議員は、メガボックス側が即座に措置を講じない場合、同社のホン・ジョンイン代表を国会監査へ出席させるほか、強力な不買運動を推進する方針を明かした。一連の動きは映画の歴史的事実の歪曲をめぐる議論とも連動しているとされる。
一方で、映画の制作陣側は「表現の自由」を強調しており、実際の歴史的事件に対する想像力を盛り込んだ作品であると説明している。
【編集長の韓察眼】
かつてスタバの販促問題を鋭く批判した側が「弾痕チケット」では表現の自由を訴える姿は、政治的思惑による二重基準という根深い要因を浮き彫りにする。野党側は政権・与党が展開したスタバ不買運動に対する格好の反撃材料を得た形であり、政争の先鋭化を印象づける。今後も与党へ飛ぶ巨大なブーメランの行方を注視したい。


